2013年11月3日日曜日

帰国子女の親として


帰国子女とは、親の赴任等に伴い、海外生活を幼少期に経験した子供達である。訪問した国における学校体験にもよるが、早い時期から外国語や異文化を経験しているので、一般的には『外国語』が優れていたり、『国際感覚』を擁しているといわれている。

一方で日本で教育を受けていない時期があるので、日本語の読み書きに問題があったり、日本の常識を兼ね備えていないことがあるのも事実であろう。

帰国子女の親の立場としては、この利点を伸ばしてあげることと、弱点を克服する為に子供に何ができるか悩むのが共通の思いではなかろうか。海外体験は素晴らしい機会になるかもしれないし、場合によっては日本語も外国語も中途半端になる可能性もあり、親にとっては気が気ではない。また、帰国時にはいじめの対象にならないか等、学業以外でも心配することもある。

私の場合は、子供が帰国子女であり、この問題は他人ごとではすませられない。また私自身は帰国子女ではないが10代の時に留学経験があり、海外で働きノンネーティブとしての英語の壁を常に感じていることもあり、大変重要なテーマである。

かつて、高校の一時期、アメリカの大学を目指した時期があり、SATを受験したことがあった。そのテストは難しく、箸にも棒にもかからずがっくりした思い出がある。受験会場の国際基督教大学(ICU)において、試験後、同世代の帰国子女達が『It was not so bad』と流暢な英語で話しているのを聞いて2重にショックであった。やはり、1年間留学しただけでは、何年も海外に住んでいた帰国子女には英語の面で太刀打ちはできないと強く感じた。帰国子女が羨ましいと思ったほどである。

しかし、帰国子女といってもその海外体験により、外国語の習得度に大きな個人差がある。また、帰国後の教育方法によって、その後の外国語の発展に大きな影響を及ぼす。かつては、小・中学校で帰国した子女達にとって英語の力を伸ばすような塾や学校は少なかった。しかし、現在は、帰国子女用の英語専門塾や特別英語クラスを保有する中・高も現れており、そのレベルは高まっている。

実際に子供が小学校高学年の時に、帰国子女用の塾に通わせたが、その集中度はすざまじかった。その塾は帰国子女用の中・高受験を目的としているが、週に2~3回の授業で撤退的に英語の読み書きを習得させる。現在、子供が再び海外の高校で対応できているのは、かつての米国の初等教育の経験とともに、その塾で鍛えられたことが大きいと思っている。

現在、日本においてはTOEIC900点や、TOEFLが600点があれば、英語が高いレベルに達しているとされている。このレベルに達するのは大変な努力が必要なことは重々承知している。しかし、これらの点数(特にTOEFL)はあくまで米国の高等教育を受ける為の目安であり、残念ながら、これらの点数をとってもネーティブとの英語力の差は歴然である。

個人差はあるが、日本で教育を受けた人に比べ、帰国子女はこれらのレベルに早く達しやすい。しかし、それ以上の知識や専門性は、本を読んだり、勉強をして向上するしかない。また、母国語が深い思考を行うレベルに達していないと、次の段階で苦労することになり、母国語の教育は極めて大切である。 

親に出来ることは、与えられた環境にて、子供にベストな機会を与えてあげることであろうか。そして、子供の努力に対して常に注目し、愛情を注ぐことが最も大切であると思う。

子供は親の英語の発音がおかしいことを小さい頃から認識しているし、語彙もネーティブと比べて少ないことも、言い回しも豊富ではないことにも気がついている。それでも、英語を使って働いてる親の姿を見て、自らの将来の為に役立ててもらえればと思っている。帰国子女は日本の宝である。親のレベルを遥かに超えて、世界に大きく羽ばたいて欲しい。

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