2013年3月15日金曜日

アフリカ人の英語について

10億人が住むアフリカ大陸は多様な言語が用いられているが、その数は1500~2000程に及ぶという。多くのアフリカの国では土着の言語が話されているが、国の公式言語は宗主国の言語の影響を受けている場合が多い。その言語は大きく分けて、アラビア語(北部)、英語(東部、南部)、フランス語(北部、西部)、ポルトガル語(南部)に分けることが出来るであろう。このような環境で育っているアフリカ人は生まれながらにしてポリグラット(多言語話者)であるのは納得である。

国際的なビジネスの場合には、英語かフランス語で商談が行われることが多い。契約書も現地法のみならず、フランス法、イギリス法に準拠して、それぞれの言語で締結されることが多々ある。また最近は、フランス語圏(フランコフォン)の若いビジネスパーソンでも英語が話せる者が多く、英語で商談が進められることが多い。

しかし、英語による商談と言っても、その”話す”英語は多種多様である。私も、この1年数か月間、アフリカに住んでみて、様々な国の同僚、顧客、パートナーと英語で話をしてきたが、当初はあまりも多様なアクセントに戸惑った。私は過去に華僑やインド人の英語も克服してきたつもりなので、癖のあるアクセントには多少の自信があったが、その期待はすぐに裏切られた。私の
印象では、東アフリカのケニア、ウガンダ、タンザニア人の英語は解りやすいが、西アフリカのナイジェリア人や、南アフリカのボツアナ人の英語は聞き取るのに一苦労である。最初はその人達の英語のレベルを疑ったが、メールで受け取るWritten English(書き言葉)は素晴らしい。基本的には高い教育を受けたネーティブのレベルである。

ちなみに、アフリカは距離が広いので、容易にFace to Face(対面)の打ち合わせをするのが困難である。従い、電話会議でビジネスが進められる事が多い。アフリカ移住後の当初、ナイジェリア人と電話会議を行うことが多かったが、アフリカの国際電話の音質は極めて悪く、相手が早口でアクセントが強く、更に子音を明確に発音しないので、聞き取れない場合が多かった。最初の頃は電話会議の後には、何とも言えない頭痛に襲われたのを覚えている。

最近、ようやく仕事や専門用語に慣れ、また、アフリカの話題に明るくなってきたことにより、昨年とは段違いに理解度が増したが、それでも電話会議の時は未だに憂鬱である。

以前、同僚のアメリカ人に相談したところ、『心配するな。俺も何言っているのか判らない事が多い。判らない時には聞き返すが、正直、集中しないと聞き取れない。』とコメントしていた。また、ある同僚から聞いた話は、西アフリカ人の同僚が会議中で英語でまくしたてたが、東アフリカの人達は唖然として、『誰か今何言ったか分かったか?』と仲間同士で顔を見合わせるばかりだったという。

茅ヶ崎方式 時事英語教本―応用編は私の人生は英語で苦労の連続である。中学の頃から英語が好きで、15歳の時に念願のオーストラリアへの高校留学の夢が叶った。しかし、訛りの強いオーストラリア英語で話す先生の内容が判らず、挙句の果てにはホームシックにかかった。大学時代にはケーブルテレビでCNNを見るようになり、時事英語を理解する為に『茅ヶ崎方式時事英語教本(応用編)』をボロボロになるまで読み、カセットテープが擦り切れるまで何回も聞いて単語を覚えた。社会人になっても、駐在を希望して、『Time 』や、『NewsWeek』、『Economist』を通勤中や夜中に読んで知らない単語を覚えた。その間、マレーシア、シンガポール、ネパール、香港、米国等の様々な国に出張し、色々な国の人と出会い、英語で商談を行った。

転職することによって駐在する機会を失ってしまったが、その代わりに、カリフォルニアのMBAに留学したのは30後半になってからである。受験の為に改めてTOEFLやGMATを勉強し、入学してからも、大学院の駐車場の屋上で大声を出しながら、夜中にプレゼンの練習していたのはつい4~5年前の事である。MBAから帰国した後も、毎日、通勤中や夜中にIPodで英語のニュースを聞き続けて、それが元で難聴になってしまった。

アフリカに来てからは電話会議における英語の聞き取りと、書く英語で散々苦労である。自ら選んだ道とはいえ、『いばらの道』は果てしなく続く。心が折れそうになることがあるが、様々な国の素晴らしい仲間に出会える喜びは格別である。愚痴はこれくらいにしておかないと罰が当たるかもしれない。 

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