2011年12月1日木曜日

単独飛行




日本の会社を退職する際に上司からもらった本がある。ロアルド・ダールの『単独飛行』という本である。『単独飛行』は、ロアルド・ダールが入社した石油会社シェルの辞令で東アフリカへ派遣されてから、第二次世界大戦における空軍パイロット時代を経て、負傷のため本国に送還されるまでの三年間を描いたものである。

私は妻・娘、両親、兄の家族に見送られて、日本を発った。アフリカへの移住なので100KG以上にもなる荷物を6つを持って。羽田からは01:30発のJL041便でパリに。パリからは13:00発AF2584便でチュニジアに向かった。飛行機の中ではロアルド・ダールと自分の気持ちを重ね合わせた。

飛行機から見下ろせた地中海の海は美しかった。強い日差しが海を反射してまぶしかった。地中海からアフリカ大陸が見えた時には感動した。これが自分が目指している大陸なのかと。

ダールは自分が訪問したい場所は強い意志を持って自分で選んで行ったようだ。その背景にはいつも母親の愛情の支えがあった。私も、両親から溢れるくらいの愛情を受けて育った。現在は妻と娘からも愛され、12歳の娘に対しては、私が両親から受けた以上の愛情を注いでいる。アフリカに行くことを伝えた時には娘に泣かれ、心が張り裂けるような気持になった。こんなに恵まれた環境なのにアフリカへの移住を強引に決めてしまった。我儘な生き方であると自分でも思うが、ダールのような人生に憧れた。

これからは国際機関において、アフリカのあらゆる国に訪問する事になるだろう。しばらくは、人生の折り返し地点に差しかかっての『単独飛行』であるが、娘の受験が終わり、一貫教育の中で、落ち着いた頃には『家族飛行』になればよいと心から願っている。

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