2013年1月13日日曜日

アフリカの通信事情について(2)

『アフリカの通信事業について(1)』にて、サブサハラのアフリカ諸国はラスト・ワンマイルのアクセスの問題により、インターネット、特にブロードバンドの普及が進まないことを紹介した。それではどのような方法でアフリカにおいてインターネットを普及できるのであろうか考えてみたい。

過去10年でアフリカは携帯の普及は加速的に進んだ。Blycroft Publishingが発行するレポート によると、既に2012年2Qにおいて54国中の17の国が71%以上の普及率を達成しているようだ。セイシェル、ボツワナ、南アフリカ、モロッコ、チュニジア、ガボン、ガボンに至っては、普及率が100%以上となっているようである。現在、アフリカの多くの国では家族に一台の携帯を持っているのは当たり前になっており、今後は多くの国で一人が一台の携帯を持つ日も夢ではないだろう。

一方で、インターネットに関してはどうであろうか。ITUが発行しているKey 2000-2011 country data によるとその普及率は低い。2011年において、アフリカの多くの国は普及率が5%さえも達しない国が多く、上述した通信が発達している国の南アフリカでも21%、ボツワナに至っては7%とインターネットが普及していないことがわかる。

インターネットの普及率の低さの原因は、上述したラスト・ワンマイルのアクセスの問題によりADSLのサービスが供給されていない事や、移動体通信(携帯)に関してはGSM(音声電話)が主流の国が多く、携帯やスマートフォーンにてインターネットのサービスを享受できないことに理由がある。

それではどのようにしてインターネットを普及することができるのであろうか。私はアフリカのインターネット事情を改善するのにはLTEの導入が鍵であると思っている。特に3G(CDMA)の導入がされていない国は、2G(GSM)から4G(LTE)に一挙に移行することができる。テレビのアナログからデジタルの移行等も行われてない国が多く、今から適切な周波数を割り当てる事も可能である。

そもそもLTEとは何であろうか。LTEとはLong Term Evolutionの略であり、3Gから4Gの橋渡しを行う為に開発された移動体通信(携帯)の技術である、3.9G世代と呼ばれていたが、ITU(国際電気通信連合)が4Gと呼称することを認可した為、現在、多くの国では4Gと呼んでいる。多重方式は下りにOFDM(直行周波数分割多元接続)を利用している。ちなみに、CDMAはシステム帯域幅を可変できないが、OFDMは帯域幅を可変させることに対してはきわめて柔軟であり、技術的にOFDMのほうがCDMAと比べて同じ周波数帯域幅でも通信速度を向上させやすい。また、LTEは音声も含めて、全てIP信号が基軸となっている。GSMやCDMAと異なり、携帯電話、スマートフォーンを利用して、音声を含めてオールIPネットワークを実現することになる。何が言いたいのかというと、適切なLTEのネットワークを構築すれば、何処にいても、端末さえあれば高速のインターネットにアクセスする環境が整うということである。

今後はアフリカにおいてもスマートフォーンの普及が加速するであろう。サムソンによると、アフリカの普及率は6~8%程度であるという。About.comによると、現在、一番安いモデルで価格が100ドル程度であるそうだ。これが60ドル程度になればアフリカにおいても爆発的な広がりを見せると思われる。

LTEに関しては、アンゴラ、ナミビア、モーリシャス、南アフリカが既にサービスを開始している。今後はナイジェリアやエジプトもサービスを開始する予定である。スマートフォーンとLTEを利用すれば、インターネットのラスト・ワンマイルの問題は解決する。アフリカの友人が、携帯(音声電話)と同じく、いち早くインターネットが気軽に利用できる日が来ると期待している。

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