2013年1月15日火曜日

アフリカのインフラについて

先日、日本に一時帰国した際に日本のインフラのレベルに感動したことをブログで述べた。電力、通信、ガス、水道、建物、交通網、宅急便等を含む輸送網のインフラが完璧に機能していたという印象を持った。確かに東日本大震災の際にその脆弱性が指摘されたり、笹子トンネルの事故で見られたように老朽化が進んでいたり、ばらまき公共事業によって、全体的な国家戦略に欠ける空港や港湾の設備等が増えた等の問題がある。但し、あくまで主観であるが、海外のインフラと比較すると日本のインフラは一流であると思われる。
 
あまりにも感動したので、チュニジアの友人に日本のインフラの素晴らしさと、その整備状況を説明し、チュニジアのインフラと比較するコメントをしたところ、『日本とチュニジアを比較しないで欲しい。チュニジアは未だに途上国でインフラを投資する財力も人材も足りない。』と機嫌を損ねられ、配慮が足りない発言をしたと思い反省をしている。
 
ちなみにサブサハラ諸国のアフリカのインフラはどのようになっているだろうか。少し紹介をしたい。『Africa Infrastructure Country Diagnostic』というレポートよるとサブサハラ諸国で最も問題なのは電力セクターであるという。サブサハラの48か国(人口約8億人)の発電能力はスペイン(人口45百万人)と同等に過ぎない。又、電力の使用量は1人当たり124KWhで、100Wの電球を1日3時間しか利用できない計算になる。道路も問題である。アフリカは広大な土地を有する大陸であるが、人口の1/3のみが1年間利用できる舗装道路の2km以内に住んでいるという。対照的に他の途上国の平均は人口の2/3が舗装道路の2KM以内に住んでおり、いかにアフリカの道路が整備が遅れているかがわかる。

また、同レポートによるとインフラのコストは他の諸国の2倍のコストであるという指摘もある。電力や物流等のコスト高によって企業の生産性が40%損なわれているという。更にアフリカのインフラの30%は既に老朽化しており、早急に改修する必要があるという。

これらの問題を解決し、必要なインフラを構築する為には継続的に年間930億ドル(※)の支出が必要となるらしい。(※中国の2000年代のインフラと同レベルを構築するという仮定。)これはサブサハラ諸国のGDPの15%に値する金額である。ちなみに現在インフラに支出されている金額は450億ドル(内訳:ODA、国際機関等60億ドル、民間セクター90億、公共セクター300億ドル)であり、約480ドルの資金ギャップが生じている。

それではどのようにしてこの資金ギャップを埋めればよいのか。各国の財政支出や2か国間等の援助には限界がある。解決方法は民間セクターの資金をもっと導入するしかない。アフリカがインフラを改善し、今後益々の経済成長を行うためには、更にPPP(官民パートナーシップ)等のスキームを利用して、民間のノウハウや資金の導入をすることが求められている。

『African Business』という雑誌によると、アフリカの2000年代の平均成長率は5.6%で世界の平均成長率の約2倍であったという。今後、中国等の経済成長に陰りが生じても、アフリカは継続して成長するという指摘もある。日本は1400兆円の個人資産がありながらも、成長率は止まったままである。殆どの個人資金は銀行や生命保険会社を経由して、1000兆円に昇る国債を支えているからであろう。低い成長に“ロックアップ”しているというのが日本の実情である。

実は一時帰国した際に某アフリカ向けセミナ―というところで同様の話をしたばかりである。アフリカが高い成長を継続していることを知らない日本人は多い。『若くて成長しているアフリカに投資をしませんか?』日本からの投資に是非期待したい。

※上記の衛星写真はヨーロッパと比較して、アフリカの電力利用がいかに少ないかを示したもの。

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