2013年1月9日水曜日

ジャスミン革命は何をもたらしたか

1月14日にチュニジアはジャスミン革命の2周年記念を迎える。2011年の同日、前大統領であるベンアリは国外に亡命せざるを得なくなり、23年に及ぶベンアリ独裁政権は崩壊した。

私はチュニジアに住み始めて1年3か月程になるが、最近感じるのは、当初来た頃よりも社会全体の雰囲気が悪くなってきていることである。安全であると思われていたチュニス周辺の治安も少しづつ悪化している気がしてならない。身近な例では、ダウンタウンにおけるデモや、町で起こる喧嘩、知人の空き巣に入られた頻度も以前より増加している印象を受ける。

失業率もベンアリが亡命した2011年1月時点の13%に比べて、昨年の12月時点は18%まで上昇しており、現在、75万人もの失業者が存在する。特に若者の失業が多く、対象の1/3は大学卒業者であるという。昼間にカフェで大量に見かけるほとんどの若者は失業者であることは間違いないだろう。当初予定されていた民主主義の工程も遅れている。現時点で、新憲法も最終ドラフトが出来上がっておらず、総選挙も早くても6月までは待たなければならない。

モルズ-キ大統領も、人民の期待に応えられていない事を認めているようだ。しかし、「チュニジアは岐路に立たされている。世界が注目している中、チュニジアは規範となる機会を失わないべきだ。」と民衆に対して懸命に問いかけている。残念ながら、9月に発生したサラフィスト(イスラム原理主義者)によるアメリカ大使館とアメリカンスクールへの暴動によって、海外投資家や観光客に悪影響があるのは必至であろう。

ジャスミン革命は人々に何をもたらしたのであろうか。人民は表現の自由、選挙権、そして民主主義を手に入れた。表現の自由を手にしたことにより、非難の矛先は政府や警察の権力者に対して公然と向けられている。しかし、民主主義の原点はルールのコンセンサスである。自由をはき違えると、そこで待っているのは混乱(Chaos)でしかない。現在の状況が悪循環に陥りそうであることは否めない。大変難しい状況であるのは重々理解しているつもりであるが、チュニジアの友人には、個人の利益よりも全体的な利益を優先するべく行動頂ければと切に願っている。 
 

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