2013年1月12日土曜日

国際結婚

昨日、アメリカ人の同僚の家に招待された。理由は大家が“猪”の狩りを行い、そのおすそ分けをもらったが、肉が大量すぎて、食べに来てほしいという。奥さんの友人も来るという。

いままで、彼の家には何回招待されたであろうか。一緒に飲みに行った回数も数えきれない。年齢も近いし、お互いある程度の経験を積んで国際機関に来たことや、メキシコに住んだことがあるという共通点もあり、信頼できる友人となっている。『老け込むのはごめんだねと。』お互いスポーツに励んでダイエットしたり、いつも冗談を言ったりしている仲である。

会社が終わった後、シティ・ブ・サイードまで車を走らせ、彼の家に着いた。呼び鈴を鳴らすと、“ジー”という機械音とともに自動の扉があく。「Come in, man!!」、何時ものパターンである。カリフォルニア出身の彼は屈託のない笑顔で家に招いてくれた。

同僚の奥さんはメキシコ人である。奥さんには家に招待される度にご馳走になり、お世話になりっぱなしだ。まず、奥さんにご挨拶をする。挨拶は左と右の頬へそれぞれキスである。日本には無い習慣であるが、最近違和感が無くなってきているのは海外生活に慣れてきた証だろうか。13歳と、6歳の子供たちには日本から買ったプレゼントを渡した。その後、オーストリア人の訪問者にも挨拶する。その方の奥さんもメキシコ人であった。なんと生後4週間という赤ちゃんを連れてきた。オーストリアから旦那のお母さんと、メキシコから奥さんのご両親とその妹も来たので、同僚の家はメキシコ人でいっぱいになった。

最近、国際結婚や異人種間の結婚が増えており、昨日はその傾向を象徴するような場であった。同僚のアメリカ人とメキシコ人、訪問者のオーストリア人とメキシコ人の二組の国際カップルの家族と共に食事をしたが、皆のコミュニケーション能力には感銘を受けた。両方のカップルも、相手の母国語が堪能である。つまり旦那達はスペイン語が話せ、奥様方は英語やドイツ語を話すことができる。子供は更にすごい。同僚の子供達は瞬時に英語とスペイン語を切り替えられる。一方で、オーストリア人とメキシコ人の親通しは言葉がまったく通じない。赤ちゃんを見ながら身振り手振りでコミュニケーションを取っていた。

国際結婚や異人種の結婚は愛する相手に人生を捧げるのみならず、相手の文化や言語、生活様式にコミットする姿勢も必要となる。愛情があれば解決する問題でもない。相手の家族やバックグランドを理解するために多大な努力が要求される。また、親を含むお互いの家族間においても、時には様々な偏見と戦わなければいけないこともあるだろう。

2008年の夏にキューバに訪問した際、有色人種と白人のカップルから異人種結婚について面白い事を聞いたことがある。1959年のキューバ革命の前は、異人種の結婚はタブーであったという。その後フィデルカストロが有色人種に対する差別の撤廃や、社会的地位向上に取組み、現在は異人種間のカップルが珍しくないどころか、当たり前になっているという。米国においてもMelting Pot(人種の坩堝化)は進んでおり、異人種間の結婚は加速化している。今後、グローバリゼーションは更に進み、国境を越えた人との交流と共に国際結婚が加速するのは間違いない。

本日、“猪”の肉を生まれて初めて食べたが柔らくておいしかった。同僚によると、本来、猪の肉は堅いがオーブンで一日中ローストして柔らかくするという。あと50年位経つと、この猪の肉のように世界中の人種が坩堝化して溶け合う日が来るかもしれない。

近い将来、「貴方は何人ですか?」という質問はナンセンスになるかもしれない。「私は世界人です。」という回答が当たり前になるのであろうか。 

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