1月16日より、アルジェリアの東部のイナメナスのBPのガス関連施設より、日本人をはじめ、イギリス人、米国人、ノルウェー人等が誘拐されている。アルカイダ系のイスラム武装勢力の犯行であると言われており人質となっている方の安否が心配である。
本日18日夕方のアルジェリアの国家テレビの報道によると、アルジェリアの治安部隊は掃討作戦を実施したが、空爆により4人の外国人が殺害され、13人が負傷したという。怪我人13人の内7人は外国人とのことだ。本日の日経新聞のオンライン版によると邦人が怪我をした可能性があることを報道しており、もしそれが事実であれば大変残念である。
今回のテロ活動はアルジェリアに本拠を置く国際テロ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」による犯行と言われている。その主犯格はMokhtar Belmoktarという男であるという。さて、このBelmoktarとは一体どのような男なのだろう。
Belmoktarは1972年のアルジェリア生まれ(41歳)であり、25万人の死者を出したアルジェリアの市民戦争に関わったテロリストである。1990年代にアルジェリア政府との争いで片目を失っており、"Mr Marlboro"と呼ばれている。 Belmoktaは19歳の時にアフガニスタンでアルカイダの訓練を受け、ロシアと戦った強者のようだ。アルジェリアの1991年の選挙では、イスラム原理主義党のイスラム救国戦線が圧勝したが、直後の1992年1月に世俗主義を標榜した軍部によるクーデターが起き、選挙結果は事実上無効になった。その結果に憤りを感じ、同氏は市民戦争に加わるようになる。その残忍さは伝説になるほどであるという。Belmoktaはまず、Armed Islamist Group (GIA)、そして、GIAから分裂したサラフィスト(イスラム過激派)グループのPreaching and Combat (GSPC)の主要メンバーとなっていく。後に両組織はAQIMに統合していったそうだ。
その後、BelmoktarはAQIMにおいて、アルジェリアとマリの間の砂漠地帯でのテロ組織を統率していく。最近は内部闘争において同氏はAQIMにおいて失脚したという説もあったが、今回、現時点でもAQIMにおいて影響力が強い事を証明したようだ。ちなみに、BPが保有する西側のガス施設を狙ったのは、フランス軍がマリに介入し、アルジェリア政府がフランスへの協力した事への報復との見方もある。
これは単なる一過性の事件ではないと考える。アルジェリアの大統領であるAbdelaziz Bouteflikaは自国の発展の為にはグローバルエコノミーの参入、特に西側との貿易が鍵であると信じているようだ。経済が発展する為には、今回のフランスのマリに対する軍事介入への支援は必要な手段であると考えているようだ。これから、西側、特にフランスとの協調は更に発展していくであろう。
Belmoktarは今後、西側の人間を引き続きターゲットにしていく可能性がある。チュニジアのサラフィストもアルカイダと連携していると聞いている。これらの活動がチュニジアにも拡大して、対岸の火事と言ってられなくなる事態になることは是非とも避けたいものである。
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