2013年1月31日木曜日

チュニジアの国境について

チュニジアの国土は北端から南端までが約850KMであり、東はリビア、西はアルジェリアに隣接する国である。リビアとの国境の長さは459KMで、アルジェリアとは965KMと言われる。西部は山岳地帯が広がり、南部は乾燥した土漠や岩砂漠が広がっている。両国との隣接する国境は長く、自然環境的にも管理が困難な事は容易に想像できる。

2011年にリビアで内戦が勃発した際には多くのリビア人がチュニジアに国境を越えて避難したといわれている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、その数はピーク時に約百万人に昇ったという。リビア大使館の統計でも2012年6月時点で約54万人のリビア人がチュニジアに避難していたようだ。

実際に、私が2011年末にチュニスに引っ越した際にはリビア人が多いという印象を持った。家を探していた頃はリビア人流入により家賃が高騰していたほどである。一日必ず、白地プレートに黒字ナンバーのリビア車を何回も見たし、私のアパートにも複数のリビア人の家族が住んでいた。近くのカルフールでもリビア人が大量に買い物をしているのを度々見ていたが、皆どこか素性を隠しているような雰囲気もあった。お金に困っている様子もなく、おそらくカダフィー体制側の人達がひっそりと暮らしているのだろうと印象を持った。現在はその数は減少したと思うが、まだ多くのリビア人がチュニジアに住んでいるのは間違いない。

上述したリビア人は正規の手続きを経た人達がほとんであろうと思われるが、1月27日付『Jeune Afrique誌』によると、2011年のリビアの内戦を境にしてチュニジアとリビアの国境に大きな変化が生じているようだ。チュニジアの国境を越えて、兵器、麻薬、燃料、消費財等を運ぶ不法侵入者が後を絶たないという。更に、チュニジアとアルジェリアと国境においても問題が生じているようだ。昨年の12月10日にKasserineの山岳地域Derbeyaにて、武装したグループとチュニジアの国境隊が衝突し、国境警備員の一人が殺害された事件もあった。Morzouki大統領によると『カダフィー政権が保有していた武器は、リビアにおいてイスラム過激派の手に渡ったのみならず、アルジェリアやチュニジアでも同じ事が起こっている』と言及している。

「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」によるチュニジアの活動も行われているという。内務省Ali Laarayedh大臣によると、昨年の12月、アルジェリアの国境に近い、チュニジア北部のChambi山にて6人のAQIMメンバーが逮捕されたという。彼らの目的は、チュニジアにおいてAQIMの活動基盤を構築することであったようだ。彼らは爆弾を製造訓練を受けており、逮捕の際は爆弾、弾薬、銃、双眼鏡、軍服等が押収されたそうである。

このような環境において、リビアとアルジェリア、そしてチュニジアは1月12日にそれぞれの国境において、武器や麻薬の流入や、組織的犯罪を抑え込む為に安全強化に協力する旨合意している。国境の犯罪は一国側のみでは防げない。是非、3か国間で情報を共有し、国境警備を強化することにより、国際的なテロ活動が拡大しないように協力してもらいたい。

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