2013年1月17日木曜日

宗教

ブルーモスク/イスタンブール昨日、コートジボアール人の同僚と昼食に行ったときに、キリスト教会で洗礼の儀式(Baptism)に参加した話をしたところ、宗教の議論になった。
 
同僚はイスラム教徒であり、彼が毎週金曜日にはモスクに行くことは知っていた。コートジボアールの宗教の比率を聞いたところ、イスラム教徒の方がキリスト教徒より多いという。また、自然物を崇拝する土着の伝統宗教も存在するという。西アフリカでイスラム教がキリスト教より多いのは大変驚きであった。後で調べたところ、北部を中心にイスラム教徒が38.6%、南部を中心に32.8%を擁し、土着の伝統宗教が11.9%、無宗教が16.7%であるとのことである。

同僚の話で興味深かったのは、イスラム教徒も洗礼を行うが、キリスト教のように教会(イスラム教の場合はモスク)で儀式が行われるのではなく、自宅で洗礼が行われるという。また、キリスト教徒のように体を洗ったり、頭に水をつけたりする行為は行わず、証人の元でアッラーに忠誠を誓う儀式を行うとのことである。ちなみに洗礼の時期は生後1か月頃であり、それまでは名前は対外的には発表は出来ないとのことだ。イスラム教徒は生後1か月迄は“名無しの権平”であるようだ。

その後、彼から日本の宗教の比率や、私の個人の宗教について聞かれた。私は、日本は仏教徒、神道の信者が多く、キリスト教徒はわずかで、イスラム教徒はほとんどいないことを説明した。特定の宗教を持っていない人も多いとも伝えた。尚、比率に関しては正直分からないと回答した。

後で調べたところ、文化庁によると、日本の宗教の内訳は神道系が計約1億600万人、仏教系が計約9600万人、キリスト教系が計約200万人、その他が計約1100万人で合計2億1500万人となり、日本の総人口の2倍弱の信者数になるようだ。理由は神道と仏教にはキリスト教の洗礼のような信者とみなすための儀礼がなく、実数を把握することが困難であるからである。また、各宗教の神仏を同等に崇拝し、(儀礼上であっても)参加することから複数の宗教を(事実上)掛け持ちしているため、信者を単純合計すると膨大な人数となる為のようだ。

また、同僚の個人の宗教の質問に対しては、父親は仏教徒、母親は神道の家で育ち、私はキリスト教の学校で学んだが、私自信の宗教は、不可知論者(Agnostic)であると回答した。世の中には自分がコントロールできない人知を超えた現象が存在するとは思っているが、それを神と呼ぶのか、運命と言うのか、自然と呼ぶべきかは分からないと回答した。つまり、特定の宗教を信じているわけではないが、無神論者でもないことを説明した。

私は何かを信じるという行為は素晴らしいと思う。しかし、宗教を理由に人々が対立したり、争ったりするのが残念でならない。故にどこかで特定の宗教を信じたくない気持ちがある。イスラム教徒の彼にとり、特定の宗教を持たない私の考え方は理解されないと思ったが、『人知を超えた存在を認めるというのはいいことだ。素晴らしい考え方である。』と理解してくれたのは嬉しかった。同僚が示したように、宗教対立を回避する為には、自分の考えを人に押しつけるのではなく、相手の考えを尊重するのが第一歩だと思う。

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