前回の『チュニジアのインフレーションについて(1)』において、同国のインフレは主に金融市場の流動性の拡大や、金利、為替等が大きな要因であることを述べた。
しかし、DFIのレポートによると、チュニジアのインフレはこれらの要因のみならず、『リビアの内戦』も多大な影響を与えていたという。特に2012年初頭は、チュニジアから対リビアへの“農業・食品”の密輸が急増していたようだ。リビアに対して、市場価格より高価で食品が輸出されたことにより、チュニジアの国内価格の高騰に繫がったようだ。特に国境においては、基本的な食品が不足した事態が起きたという。問題はこれらの食品が補助金を対象としたものが多いことである。チュニジア人のタックス・ペイヤーの金で、密輸業者を儲けさせていることに他ならない。
そのDFIのレポートによると、2010年から2011年間のチュニジアによる対リビアの輸出(9か月間のみ比較)は、『革製品・靴』は例外として全てのセクターが減少しているにも関わらず、『農業・食品』のみ急増しているという。(下図参照)同セクターの伸びはTND186百万から、TND554百万と約3倍増の驚異的な伸びを示している。
このデータはチュニジア輸出振興会(CEPEX)の提供した数値であり、密輸とは関係がないデータであるが、正式な統計でもリビアへの農業・食品の輸出は増えていることがわかる。国内の生産のペースが追い付かない場合には、国内供給が減り、価格が高騰化するのはうなずける。前回も説明した通り、食品の消費者物価数(CPI)に占める割合は32%であり、インフレ率への影響は少なくないはずである。2012年のデータが入手できないので、最近のトレンドが解りかねるが、流通チャンネルが確立した後は、食品の輸出はそう易々と止まらないと思われる。
2012年9月10日付『リビアビジネスニュース』の記事によると、チュジニアの他国に対する『夏果実』の輸出は、昨年の同時期より17%増大し、3.25万トンになったという。この内、40%程度がリビア向けに輸出されたとのことである。ちなみに、夏果実の輸出内訳は主に『スイカ』が54%、『ストーンフルーツ』(桃、アプリコット、チェリー、プラム等)が28%である。これも、闇市場ではなく、チュニジアの農業省発表した正式な輸出の数値であるが、やはり、対リビアの農業・食品の輸出の拡大は2012年の夏頃にも継続していたようだ。
2011年にリビアで内戦が勃発した際には多くのリビア人がチュニジアに国境を越えて避難したといわれている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、その数はピーク時に約百万人に昇ったという。リビア大使館の統計でも2012年6月時点で約54万人のリビア人がチュニジアに避難していたようだ。今年の1月号の『Jeune Afrique誌』によると、両国間の密輸が拡大していることを指摘しており、チュニジアからリビアへの密輸は食品のみならず消費財の流出が起こっているようだ。リビアからチュニジアへ武器や麻薬が流入してることも指摘されている。人の流れが活発化し、容易に様々な商品が国境を越えていることが想像つく。
昨年、少し変わったところでは、チュニスの数か所で、日本の米と似ている『エジプト米』が販売され始めた。これは密輸とは関係ないと思われるが、店主によると、リビアの卸売業者がチュニスに運んでいるという。多くのリビア人がチュニジアに住んでいたからである。(ちなみにリビア人は短米を食べる習慣があるが、チュニジア人にはその習慣がほとんどない。)これもチュニジアとリビアの取引が活発化している一例である。これに関しては私も恩恵を受けており文句は言えない。
これからも、チュニジアの多くの農業品や食品がリビアに流れ、インフレが拡大してしまうのであろうか。ちなみにチュニジアの果実は美味しい。現在はオレンジ、ミカン、リンゴ、ナシ等が出回っているが、夏にはスイカ、桃、ブドウ、メロン等の豊富な果物が店頭に並ぶ。正式な輸出の場合には文句が言えないが、安くて美味しい果物を食べる権利は、チュジニア在住者のみにあってほしい。チュニジア人、特に庶民から特権を奪わないで欲しいのが正直な気持ちである。
しかし、DFIのレポートによると、チュニジアのインフレはこれらの要因のみならず、『リビアの内戦』も多大な影響を与えていたという。特に2012年初頭は、チュニジアから対リビアへの“農業・食品”の密輸が急増していたようだ。リビアに対して、市場価格より高価で食品が輸出されたことにより、チュニジアの国内価格の高騰に繫がったようだ。特に国境においては、基本的な食品が不足した事態が起きたという。問題はこれらの食品が補助金を対象としたものが多いことである。チュニジア人のタックス・ペイヤーの金で、密輸業者を儲けさせていることに他ならない。
そのDFIのレポートによると、2010年から2011年間のチュニジアによる対リビアの輸出(9か月間のみ比較)は、『革製品・靴』は例外として全てのセクターが減少しているにも関わらず、『農業・食品』のみ急増しているという。(下図参照)同セクターの伸びはTND186百万から、TND554百万と約3倍増の驚異的な伸びを示している。
このデータはチュニジア輸出振興会(CEPEX)の提供した数値であり、密輸とは関係がないデータであるが、正式な統計でもリビアへの農業・食品の輸出は増えていることがわかる。国内の生産のペースが追い付かない場合には、国内供給が減り、価格が高騰化するのはうなずける。前回も説明した通り、食品の消費者物価数(CPI)に占める割合は32%であり、インフレ率への影響は少なくないはずである。2012年のデータが入手できないので、最近のトレンドが解りかねるが、流通チャンネルが確立した後は、食品の輸出はそう易々と止まらないと思われる。
2011年にリビアで内戦が勃発した際には多くのリビア人がチュニジアに国境を越えて避難したといわれている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、その数はピーク時に約百万人に昇ったという。リビア大使館の統計でも2012年6月時点で約54万人のリビア人がチュニジアに避難していたようだ。今年の1月号の『Jeune Afrique誌』によると、両国間の密輸が拡大していることを指摘しており、チュニジアからリビアへの密輸は食品のみならず消費財の流出が起こっているようだ。リビアからチュニジアへ武器や麻薬が流入してることも指摘されている。人の流れが活発化し、容易に様々な商品が国境を越えていることが想像つく。
昨年、少し変わったところでは、チュニスの数か所で、日本の米と似ている『エジプト米』が販売され始めた。これは密輸とは関係ないと思われるが、店主によると、リビアの卸売業者がチュニスに運んでいるという。多くのリビア人がチュニジアに住んでいたからである。(ちなみにリビア人は短米を食べる習慣があるが、チュニジア人にはその習慣がほとんどない。)これもチュニジアとリビアの取引が活発化している一例である。これに関しては私も恩恵を受けており文句は言えない。
これからも、チュニジアの多くの農業品や食品がリビアに流れ、インフレが拡大してしまうのであろうか。ちなみにチュニジアの果実は美味しい。現在はオレンジ、ミカン、リンゴ、ナシ等が出回っているが、夏にはスイカ、桃、ブドウ、メロン等の豊富な果物が店頭に並ぶ。正式な輸出の場合には文句が言えないが、安くて美味しい果物を食べる権利は、チュジニア在住者のみにあってほしい。チュニジア人、特に庶民から特権を奪わないで欲しいのが正直な気持ちである。
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