2013年2月6日水曜日

21世紀はアフリカの時代


January 2013『アフリカの時代~どの様に21世紀を支配できるのか~』これは1月号の『African Business』誌の主題である。少し過激なタイトルと思いつつ購入して読んでみた。

同誌によると、『最速の十億人』の著者である経済学者チャールズ·ロバートソン氏は、現在、アフリカでは経済革命が起こっており、現時点の経済成長率が継続するのみならず、今後40年間、更に伸びる可能性があることを述べている。この成長が達成できれば、2050年のアフリカのGDPは”現在”の米国とユーロ圏を合算した規模になるそうだ。更に、アフリカの成長は2050年までに、アジアの成長を上回る可能性があると主張している。(参考までに2000年代のアフリカの平均成長率は5.6%で、世界平均の約2倍である。)

この予測について、経済学者の中には、あくまで希望的な観測であり、楽観的であると考えている人がいるという。これについてロバートソン氏は下記の根拠と共に反論している。

1.アフリカは経済が飛躍する社会的な変革過程を本格的に享受する段階に入ったこと。
  (1)農業社会から工業社会、2)独裁政治から多元的な中間層社会、3)情報化社会の創出。)

2.アフリカは広大な大地と天然資源を抱え、魅力的な人口構造を抱えていること。

3.アフリカは植民地時代、またはポスト植民地時代の失敗を乗り越えたこと。
  (天然資源等を目的とした代理戦争、アパルトヘイト等)

4.アフリカはマクロ経済の管理がうまく行っていること。
  (IMFや世銀の支援により、債務の減少、インフレ率の低下)

5.アフリカは民主主義の過程が進んでいること。
  (1990年に民主主義国家は3か国であったのが、2012年には19か国に増えている。)

さらに、ロバートソン氏はアフリカが成長する可能性について、ナイジェリアのノコジ・オコンジョ・イウェアラ金融大臣が引用した一説を紹介しながら反論している。

『民族や宗教による複数の戦争、栄養失調、そして非識字によって引き裂かれた大陸を想像してみて下さい。その大陸は、曖昧に決められた国境、植民地時代の傷跡、外国諸国からの介入により、状況が複雑化されております。一人当たりのGDPは400ドル程度です。膨大な人口のごく一部しか初等教育を受けることができず、その権威主義的支配者は、地域の豊かな天然資源によってもたらせる収益を、国家の優先事項ではなく、個人の為に利用しています。このような状況の中で、民衆の生活を維持するのは非常に困難なのです。』

『さて皆さん、これはどの大陸の事を指すと思いますか?アフリカ大陸と思うでしょう。』『それは間違いです。これは1970年代の”アジア”について述べている内容です。』

イウェアラ大臣によると、アジアは世界で最も速い経済成長を遂げるまでに、200年間もの没落、帝国による支配、経済の沈滞を経て今日の繁栄があったことを説明している。そして、経済予測を行う学者の最大の問題は、人間の“精神”を無視していることであるという。歴史家は少なからずも世界の偉大な帝国については記述をするが、敗北して、破壊して灰の中から這い上がった人々については記述しないという。『この敗北して破壊された人々がその時代に適応し、力強く、そして豊かに生きていくのであり、頑固で柔軟性に欠けるものは、枯れて、衰退する運命にあるのです。』ロバートソン氏や同大臣に言わせれば、1970年代に、経済学者がアジアの経済予測を著しく誤ったように、アフリカ人が飛躍的な経済成長を遂げられない理由はないということである。

この記事を読んだ感想であるが、私も基本的には同じ考え方である。今後アフリカは、紆余曲折を経ながらも、着実に成長の道を歩んでいくと思っている。過去10年の経済成長は資源やコモデティーの高騰によって支えられた部分が多いが、ロバート氏が指摘するように、今後はブラックダイアモンド(中間所得者)に支えられた市場の成長を本格的に享受する時代に突入するだろう。そして、様々の分野において、若い企業家やビジネスパーソンが活躍する時代がやってくると信じている。

日本人の大半はアフリカ人には能力がなく、民主主義的な国家運営を行い、経済成長を継続するのは難しいと思っているようだが、それは大きな間違いであると断言できる。私は北アフリカやサブサハラ出身の多くの顧客や同僚と働いているが、その能力の高さには日々驚かせられている。また、彼らが企業家精神を持って未来を開拓しようとしている姿勢も見ている。私はアフリカがアジアの経済成長を上回ることになっても特に驚かない。むしろ、イウェアラ大臣が指摘しているように、日本人がかつての創造的で、野心的なスピリットを失い、自らが優秀だと過信しながら、衰退してしまうのではないかという事を懸念している。

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