決勝は19:15(チュニス時間)からのキックオフである。近所のカフェでチュニジア人の友人と共に観戦した。テレビ中継はアラブ語で行われていたので時々説明を加えてもらいながらの観戦である。ちなみに、本日のチュニスは雨上がりで寒かった。カフェの中の席は他の客でいっぱいだったので、入口近くのオープンスペースで震えながらの観戦である。
試合直前に南アフリカのズマ大統領が両チームの選手を労っていた。南アにとってもこの大会に注力していることがわかる。ちなみにこの大会のスポンサーはOrangeである。親会社はフランステレコムで、チュニジアをはじめとした主にフランコフォン(仏語系)の諸国に進出している携帯会社である。試合は、FIFAのチェアマンであるジョセフ・ブラッターや、CAFのチェアマンであるイッサ・ハヤトウが見守る中行われた。
ご参考までに、ナイジェリアとブルキナファソは共に西アフリカに位置しているが、その国の性格は大きく異なる。ナイジェリアはアングロフォン(英語系)であり、ブルキナファソはフランコフォン(仏語系)である。国の規模もナイジェリアの人口が約1億6千万で、GDPが2390億ドルの大国に対して、ブルキナファソは人口が約1600万人で、GDPが220億ドルの小国である。つまり、経済の規模も人口も10倍ほどの差がある。
国歌斉唱の際に選手の顔を見てても、そのチームのカラーは異なっていた。ナイジェリアの選手がオーソドックな髪型と真面目な態度に対して、ブルキナファソの選手は、髪を金髪に染めてたり、鶏冠の様な髪型をしていたり、顎鬚のみを金髪にしていたり、個性豊かな雰囲気で対照的であった。これはイギリスによる統制を重んじた植民地化と、フランスのどちらかと言えば現地融合型の植民地スタイルの違いによる影響なのであろうか。
試合はスピードに溢れるゲームでエキサイティングであった。両チームとも身体能力のぶつかり合いのゲームである。サブサハラの独自のリズムにおけるドリブルやオーバーラップは見ごたえがあった。両チーム共、若干雑なプレイが多く、組織力という意味では日本のチームの方が上であると感じた。しかし、私は、日本のバックパスが多いまどろっこしいサッカースタイルよりも、アフリカのサッカーに魅力を感じ始めている。アフリカのサッカーは極端に言えば、メキシコのプロレスの“ルチャ・リブレ”を見ているような感覚である。
前半はナイジェリアが若干押していたゲームであったが両チームの間にさほど力の差があるようには見えなかった。しかし、前半39分にナイジェリアが均衡を破る。ナイジェリアのMFのSunday MBA(Warri Wolves F.C.)が味方選手から受けたバスを、左足でボールで上げ、相手をかわし、落ちてきたボールを右足でダイレクトにてシュートを決めるという演出を見せた。正に決勝の大舞台に相応しい“スーパーゴール”である。後半はブルキナファソが追いつこうとして必至であったが、ディフェンシブなナイジェリアから点を挙げることが出来なかった。他にナイジェリアの選手ではJohn Obi Mikel(英Chelsea)や、Victor Moses(英Chelsea)が素晴らしいプレーを見せていた。ブルキナファソのチームはJonathan Pitroipa(仏Stade Rennais F.C.)が鋭い動きを見せていた。
最終場面の92分に、ナイジェリアのゴールキーパ-の目の前で、審判が笛を吹いた。ゴールキーパーはPKを取られたの思い審判に抱きつき必至に抗議をするが、なんと、その笛は“試合終了”の笛であった。
今年のCANも楽しませてもらった。2年後はアフリカのどの国でCANを見れるのであろうか。早くも楽しみである。
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