2013年2月21日木曜日

ジェバリ首相辞任について




辞任したジェバリ首相
昨日(19日)ジェバリ首相が辞任した。ジェバリ氏は今月6日のショクリ・べルイ-ド野党指導者の暗殺後に、政党に属さないテクノクラート(実務者)による内閣改造、並びに早期の総選挙を目指していた。しかし、自らが所属する穏健派イスラム政党であるアンナハダにより、この改造案が受け入れられずに辞任せざるを得なくなった。

これは、革命後、表舞台に立った与党のアンナハダが権力を自ら手放すような事をしなかったということであろう。ファイナンシャルタイムズ等の記事によると、アンナハダ曰く、この改造案が受け入れられなかった理由は、ジェバリ首相がこの改革案をアンナハダに事前に相談せず、国民に発表したからであるという。アンナハダはガンヌーシ氏が創立者の一人であり、同氏が党首を務めている。ジェバリ首相は党においてはSecretary General(幹事長)に過ぎない。同記事によると、現在、ガンヌーシ党首とジェバリ首相の関係は悪化していると言われており、敵対視さえしている仲であるという。
 
ガンヌーシ党首(アンナハダ)
少し解りにくい構図であるが、これは日本に例えると、安倍首相が、自ら所属する自民党や他の政党から閣僚を選ぶのではなく、早期解散を目指して、政治色が無い民間人や有識者にて内閣を改造しようとしたものであろう。しかし自民党のキングメーカーの森、麻生元首相等がこの内閣改造案に反対し、安倍首相が辞任せざるを得なくなったというような構図である。安倍首相の場合は、自民党の総裁を兼ねているが、チュニジアでは党首が別にいる。本当のキングメーカーはガンヌーシ氏である。

実はこのジェバリ元首相の改造案は、世俗派の野党のみならず、穏健イスラム派、並びに西側諸国から絶大な期待がされていた。ショクリ・べルイ-ド氏の暗殺の後にイスラム派と世俗派の溝が深まっているからである。私の知る限りでも、イスラム派も含む多くの良識のあるチュニジア人は、ジェバリ氏は党の利益よりも、国の利益を優先していると見ており、この勇気ある行動を支持していた。皆、チュニジアがエジプトのような混乱に陥って欲しくないと思っているからである。しかし、この改造案が受け入れらず残念でならない。

本日(20日)、格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はチュニジアの信用格付けを「BB」から「BBマイナス」に引き下げたと発表した。既に投機的(投資不適格)の格付けであったが、更なるワンノッチの格下げである。この政治の混乱によって、経済の回復や投資家の信用が損なわれたからであるという。今のところ、S&Pの分析は、総選挙の見込みが、2013年以降になるとは予見していないようであるが、今後混乱が拡大が起きた場合には、更なる格下げの可能性もあり予断は許さない。参考までに、元々の総選挙の実施の予定は今年の3月であったが、現在、夏頃までにそのプロセスが遅れるといわれている。

チュニジアの経済は、ジャスミン革命が起こった2011年にはGDPマイナス1.8%成長であったのが、世銀の予測では2012年は3%半ばになるという。経済の回復が期待されている矢先に、このような政治の混乱により、国民生活の足を引っ張っていては元も子もない。格付けが下がったことにより、海外からの資金調達も困難になってきた。ジャスミン革命とは国民に主権を取り戻す事が目的ではなかったのか。

危険を煽るつもりはまったくないが、チュニジアは現在岐路に立たされている。エジプトのような混乱(Chaos)の道に進まないことを祈っている。アンナハダには良識ある方針、つまり、国会の早期解散並びに総選挙実施を期待する。

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