ちなみに、チュニジアも、他国において同様のように、インフレ率はCPIを元に計算される。CPIは都市や地方の家庭によって消費される商品やサービスのバスケットによって構成されている。
実際にこの1年間、チュニジアで生活をしてみて、昨年と比べると物価が上昇している印象を受ける。身近な所では、昨年まで、町のカフェでコーヒーが60ミリアム(32円)で飲めたのが、最近、1TND(54円)程度かかるようになってきた。また同僚によると、国際空港の駐車場も一日に1~2TNDだったのが、最近は10倍くらいに値上げしたという。チュニジアの物価は、欧州や日本のそれと比べれば未だに安いが、この上昇率はチュニジア人の庶民にとっては痛手であることは間違いない。特に経済が伸びておらず、賃金の伸びが期待できない状況の中で、急激なインフレは庶民には致命的である。
同ロイターの記事によると、チュニジアの中央銀行(CBT)はインフレのターゲットを設定していないが、CBTのChadiAyari氏によると許容範囲は5%程度であろうとコメントしているという。最近の上昇率は、その範囲を超え始めている事がわかる。

それではまず、金融市場の流動性という意味において、CBTのバランスシートを調べてみた。CBTのホームページにて、2009年から2011年のアニュアルレポートが参照できた。全て市場の流動性に繫がっていないかもしれないが、資産が拡大しているのがわかる。輪転機を回してキャッシュを新たに創出しているという事であろう。上の図の様に、2008年にTND125億だった資産が2011年にはTND157億に増えている。3年間に26%程度バランスシートを拡大しているということである。
実際にDFIのレポートによると、2011年2月にCBTは、TND38.7億の資金を市場に注入したようである。

次に為替を見てみたい。この2年間の為替の動向を見てみると(下記図参照)、TNDは対ドルに対して、2011年の4月の1ドル/TND1.37の最高値から2012年8月の1ドル/1.62の最安値になっている事がわかる。約19%の通貨安である。これにより、輸入価格が上昇していることになる。チュニジアはオリーブや小麦粉のように一次産品は海外に輸出しているが、加工商品は輸入して場合が多く、食品や、生活用品もTND安によって上昇する構造になっている。燃料もチュニジアは精製所が一か所しかないことから、ガソリンの半分近くは海外から輸入している。

DFIの調査によると、政府による価格統制は二つのプロセスを用いて行うという。まず、特定の商品や消費財に政府が価格を設定し、そして、必需品の食品や燃料に対して補助金を支払うという。価格を設定している商品の中には、補助金の対象とならないものもある。例えば、コーヒー(商品)や赤肉、電話代等は政府が製造コストとマージンを監視し、政府がマージンの割合を決めているという。

ところが問題は政府の負担額が増大して、この仕組みを維持する事が困難になってきている事である。2011年の補助金は28億TNDであり、GDP比率では4.5%に値するという。2012年のデータはないが、負担は更に増えているようである。この補助金の負担により、チュニジアの財政赤字(GDP比率)は2008年の0.7%から、2011年の3.9%に増大している。
急激なインフレは非常に怖いが、チュニジアはそれを抑制する予算の余裕がなくなってきている。IMF等の指導で燃料の補助金は徐々に撤廃されるという話もある。インフレにより庶民の負担は一層大きくなりそうで心配である。
急激なインフレは非常に怖いが、チュニジアはそれを抑制する予算の余裕がなくなってきている。IMF等の指導で燃料の補助金は徐々に撤廃されるという話もある。インフレにより庶民の負担は一層大きくなりそうで心配である。
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