2013年2月23日土曜日

カサブランカ1(ホスピタリティー溢れる町)

チュニスから飛行機で3時間。カサブランカに到着した。モロッコの玄関口である『ムハンマド5世国際空港』はシルバーメタルで覆われた近代的な空港であった。

空港からダウンタウンのホテルまで30分。クラシックのメルセデツのタクシーでダウンタウンまで向かった。周辺は緑が多く、椰子の木で覆われた道はどこか南国の雰囲気が漂っている。道は広く清潔であり、どこか秩序立っている気もする。

町に近づくにつれ、大きな広告が見え始めた。『Phillips』、『ABB』、『Samsung Galaxy』、『CITI Bank』、『TISSOT Watch』、『McDonalds』、どれも外資系ブランドの看板である。夕方になり少し暗くなり始め、そのネオンが眩しい。チュニジアから来た私は少しお登りさん気分である。どうやら、モロッコは資本主義の波に晒されているのは間違いなさそうだ。

しばらくタクシーで走行して、突然、前方で赤い最新の『路面電車』が街道を横切るのが見えた。運転手に聞くと、『2012年12月12日』に開通したばかりのトラムであるという。

道が徐々に混み始めてきた。どうやら、車はダウンタウンに入り始めたようである。『カサブランカ(白い家)』の名前の通り、白基調の建物が見え始めた。伝統的な古い建物が立ち並んでいる。騒然とした雰囲気の中で目抜き通りに入り始める。高層のビルや高級ホテルがいくつか見え始めた。『Sheraton』、『Hyatt』、『Sofitel』、『Novotel』、『GoldenTulip』。先進国とその雰囲気はあまり変わらない。タクシーはラッシュアワーで中々進まない。歩道には家路に向かう人々が大勢見えた。ここは都会のライフスタイルを送っている人が沢山いるのであろう。

ようやく、フランス系のホテルに到着した。正装したホテルマンが笑顔で迎えてくれた。ホテルはホスピタリティーに溢れており、そのサービスには好印象である。ホテルでは、レストランで外国人が談笑したり、スーツ姿のビジネスマンが商談している人がいたり、どこか国際的で洗練されている雰囲気であった。スペイン語が飛び交っているのも聞こえた。そうである。ここはスペインと目と鼻の先であることを思い出した。

カサブランカはモロッコの商業・金融の中心地であり、400万人近い人口を有しているという。歴史的にはベルベル人、フェニキア人、ローマ人、アラブ人、スペイン人、フランス人がこの町で商業活動を行っていたようだ。まさに大西洋、地中海、アフリカ、ヨーロッパを結ぶ貿易の町なのである。その日に買った『L'opinion紙』によると、カサブランカは2012年に外国人が訪れたアフリカの都市としては、南アフリカのケーブタウン、ダーバンに続いて3番目であったという。かつては、観光客はヨーロッパ経由でアフリカに向かっていたが、最近はモロッコを含む北アフリカ経由で、アフリカに向かうパターンに変わりつつある事を説明していた。

翌日、モロッコ人のビジネスパートナーとも打ち合わせを行ったが、皆、友好的であり、かつ、プロフェッショナルであった。英語も完璧である。質問もプラグマッティックであり、且つ細部に及んでいた。モロッコ人は長い貿易活動により、そのビジネスの手法が鍛えられているのであろうか。現在は資本主義の流れも取り込み、脈々と商業と金融の伝統を継承している。

ビジネスパートナーと昼食を食べながら、モロッコの歴史について色々な話をした。1492年のイスラム王朝の『グラナダ陥落』後、言語も含めて様々なスペインの文化がモロッコに流入したが、一方で、アラブの文化や言語が、スペインやポルトガルに与えた影響も多大であるという。スペイン語で油は『Aceite(アセイテ)』というが、これはアラブ語の『ゼイト』から来たと言う。恐らく、アセイテの語頭の「ア」は、定冠詞の「al」がリエゾンしたのであろう。

更に、モロッコ人の多様性の話題になった。ビジネスパートナーの出身地であるマラケッシュには『Mellah』という地区があり、彼の幼少時代まで、その地区にはユダヤ教徒しか入ることは許されなかったという。現在は、その多くのユダヤ人はイスラエルに移住して、ユダヤ人による自治は崩壊したようである。近代になっても民族の流れが起こっていることに驚いた。

歓談をしながらの昼食はクスクスであったが、正直、チュニジアのクスクスよりも美味しいと感じた。レーズンのような隠し味が入っていたのがツーであった。前日のレストランで食べたムール貝の料理も絶品であった。モロッコは地中海のみならず大西洋の魚も取引され、魚の種類が豊富であるという。

まだ滞在2日目であるが、モロッコのホスピタリティーとレベルの高さに感銘を受けた。モロッコの第一印象は『いいね!』であろうか。

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